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劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [新編] 叛逆の物語


Puella Magi Madoka Magica Movie: Rebellion

感想:

一度終わらせた作品の続編を作るというのは、どう考えても野暮な話だと思うのだが。

しかし商売である以上、それで儲けようと決心したのであれば、センチメンタルな批判などに目もくれずどんどんやるべきだと思うのは、ぼくがすっかりおっさんになってしまい、世の中の「どうしようもないこと」をたくさん体験してしまったせいなのだろうか。まあいい、買え!BUY!OBEY!DON’T THINK!WATCH TV!

とはいえ「劇場版 魔法少女まどかマギカ[新編]叛逆の物語」は、そういったリブートによる新たなマーチャンダイズ発生でうひひ計画に走った作品の中では、丁寧に、慎重に、そしてより儲けられるような工夫があちこちに施された良質の作品(商品)だと思う。

スタッフが「テレビ版とは全く違う」反して「テレビシリーズは、あれで完結している」というとおり、今作につながる劇場版前二作というのは、単に新たな出発点でありこの作品へつなげるための助走でしかなかったような気がする。

特に違う点は主人公で、テレビ版が鹿目まどかであるのに対し、劇場版は次作以降も暁美ほむらの物語になるだろうということ。

「魔法少女とは何か」というテーマでアニメファンを震わせたテレビ版の話は完結し、上手く畳んだはずの物語を力技で再展開した本作は愛と憎しみというコインの裏表の話にテーマが移行した。と思う。普遍的であり如何様にも続けられる「愛」の物語は、テレビ編で訴えたかったことに比べれば続けていくことが比較的簡単だろう。

そしてそれを終わらせる条件も簡単だ。つまりは暁美ほむらが「赦し与える」行動を取った時である。

本作を観るに彼女の感情は未だ「恋」であり、それゆえ後半の展開は極めて独善的かつ個人的な悩みの吐露と葛藤が延々と続く。新編はこうして、「世界を、魔女を救う」というテレビ版の結末から一番離れたところまで来てしまった。

という訳で次作以降は時々ほむほむの葛藤やら泣き言やらどうしてわかってくれないのという叫びなんかをちりばめながら、何でもありのアクション系ダークファンタジーと化していくと観ていて飽きないのでぜひそうして欲しい。キュウべえ以外のインキュベーターが出てきてこれまでのように正論なんだか言い訳なんだかよくわからない一席をぶつのもいいだろうし、円環の理に歪みが生じて魔法少女VS魔法少女という構図になるのも悪くないと思う。つまりは、このパッケージから生まれた商品で制作者が潤い、それを糧に次作や別の作品の資金となれば良いと思ったのだ。

やあ、本編には特に感想がないのでダラダラと書いたが、個人的に面白かったのはやはり劇団犬カレーのアングラ映像と萌えアニメの融合パートだった。中野と阿佐ヶ谷が混じったような風景、つまりそれは高円寺なのではないか、まどマギを一言で表するならば「高円寺アニメ」でいいのではないかという妄想を鑑賞中ずっと楽しめた事が、この映画を観た一番の収穫であった。

「俺の表現で世界を変える」と安い飲み屋で豪語しつつも実際はどこまでいってもフリーペーパーどまりのどこかで観た事のある作品を作っている、中央線という文化のぬかるみにズブズブとはまって抜け出せなくなった自称・バスキアみたいな食えないアーティストたちに是非とも観てほしい作品だ。「分る人にだけわかればいい」といって大事にしていた過激でアバンギャルドなアングラ表現は、おそらくは彼らが忌み嫌う萌えアニメという触媒を使ってこんなにも簡単に全世界に散らばってしまったのだから。

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