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ミッションインポッシブル / ローグネイション


Mission : Impossible Rogue Nation

感想:

生活用品で「あったらいいな」をカタチにするのは小林製薬の仕事だが、ガジェットにおいて「今はまだ無いけれど、そのうち製品化されるかもしれないし、これは欲しい」と思わせるのは007や本作の仕事だ。

しかし一人がスマホという名のハイテク機器を一台ずつ携帯するようになった昨今、観客にそういった夢を抱かせるのは少々困難になってしまった。もう大抵の近未来ガジェットでは人々は驚かないのだ。

そんななか、トム・クルーズが本作冒頭でまずやってみせたのは、ガチスタントだった。一歩間違えれば死、というその行為は、本作が公開に至るまであちこちで「ガチです」「CG使ってません」と宣伝されてきた。離陸する飛行機に走って追いつき、その横っ腹にしがみついてしばらくがんばる。

凄い。凄いけれども、それを生身でやる事にどれほどの意味があるのかはわからなかった、本編を観るまでは。そして上映後に感じたのは、「冒頭に生身のスタントを一発入れておくと、その後のアクションシーンとかも全部ガチでやっているように見える」というものだった。何だよ効果絶大じゃねえか。

とはいえ「ミッション・インポッシブル(スパイ大作戦)」の醍醐味というのは、アクション以上に「制限時間のある状況で間一髪乗り切ること」であったり、「巧妙に仕掛けられたミス・デレクションなどにより物語を二転三転させることで観客が驚く」ことであったりするので、その点が面白くなければアクションやCGIを頑張っても意味がない。「1」で感じた「誰でも彼でも裏切りゃいいってもんじゃないだろ」とか「2」で感じた「顔ペロンペロンめくりゃいいってもんじゃないだろ」という気分は、出来ればもう味わいたくなかった(3作目と4作目はどんな話かも忘れた)。

今回物語の鍵を握るのは、導入部でイーサン(トム・ハンクス)を助ける謎の女性イルサ(レベッカ・ファーガソン)だ。腕っぷしが強い上に銃の扱いもお手の物、果てはバイクを乗り回して危険走行するその姿は、「敵か味方か? 謎のライダーウーマン」と思わざるを得ない。一瞬だが横乳らしきものも見せてくれる*。

※……横乳で物足りない人は、彼女の名前+ヌードで検索するとおっぱいが出てくるぞ。

前作から引き続きジェレミー・レナ―やサイモン・ペグも出ている。どちらも演技の幅が狭い役者なので、登場してからそれぞれのキャラクターを理解するのに時間がかからない。特にジェレミーは「そういやこいつ今回弓矢使わなかったな」と勘違いしてしまうほど演技に工夫が無い。IT担当のヴィング・レイムスも「頼りになる大きな黒人」以上の主張はしていない。何故ならばそれらは全て、イーサン・ハントのミッションをポッシブルにするためのいわば道具であり、信義ある男だということを証明するための誰かでしかないからだ。

そんな俳優たちに脇を固められたイーサンことトム・クルーズは、彼ら以上に「記号としての主人公」としては、これ以上ないほどに適役だ。そこにある姿にぼくは声優の「富山敬(故人)」を重ねてしまう。「主役」であり「正義」であることを、その実力で観客に納得させることのできる数少ない人物。そりゃ時には真面目ばっかじゃいやだと思って「トロピック・サンダー(富山敬的には「ニルスの不思議な旅」のキツネ)」とかを引き受けたりすることもあるが、本作において「そんなわけねえだろ」と突っ込んでしまいそうな場面でも「でもトムさんがこれだけ真面目に言ってるんだし」と、とりあえず納得してしまうほどの魅力があった。

しかし拍子抜けしたのはこのミッションに深くかかわる存在のUSBメモリである。昔でいうマイクロフィルムのボジジョンだが、それと比べたらマクガフィンとしての存在が軽すぎる。コンビニとかで売ってんだぞ、それ。
もちろん重要なのは中に入っているデータだということは重々承知している。しかしどうせ大事なアイテムとして登場するのであれば、例えば一見寿司のかたちをしている、とか、PCに接続すると付属のファンが回って涼しい、とか、存在感を出すのにもう一工夫欲しかったところである。

劇伴で良かったのは、クライマックスでそれまでバンバンと流れていた音楽がスッとフェードアウトし、全くの無音になってしまうところ。普通はキィーンとかシュワーンとか、テンションが張りつめていく様子を効果音で表して緊張感を高めたりするものだが、ここでは逆に「全くの」無音にすることで同様もしくはそれ以上の効果を狙うという演出になっていた。そしてそれは、勝つと分かっている展開でも、思わず手に汗を握らせる演出としてはかなり有効だったと思う。

ご都合主義満載の危機一髪野菜背脂マシマシ映画(ニンニクは入ってない)だが、デートムービーとしては相手がバカでない限り、娯楽作品として間違いなく楽しめる一作ではなかろうか。もし相手がバカの場合は、鑑賞後に「何が何だか意味わかんないしどういうことなの」と延々質問攻めにあう可能性を残す程度にストーリーの説明がセリフに頼り気味なので、その点において同伴者を選ぶ際には注意が必要だ。渡したストローを使ってアリ塚から蜜を吸う工夫が出来るか、鏡の前に立たせてそれが自分であることを認識できているかなど、相手の具合を確認してから劇場に足を運んでいただきたい。

関係ないけど、「スニーカーズ」観たくなりました。おわり。

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