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南極料理人


感想:

「南極料理人」は、むかし何かの映画を観にいった際に予告編が流れていて、タイミングさえ合えば観に行きたいな、と思っているうちに劇場公開が終わってしまい、それからずっと忘れていたのだがhuluの映画を五十音順に観ているぼくは今回「な」ではじまる映画を観ようと思っていたらその中にあったので観る事にした。ちなみにほかの候補は「ナインス・ゲート」か「ナオト・インティライミ冒険記 旅歌ダイアリー」かといった感じだった。「な」で始まる映画って、少ないのね(たまたまhuluのラインナップが少なかっただけかもしんないけど)。

「南極料理人」はそのタイトルが示すとおり、南極で料理をする人の話だ。細かく言えばドームふじ観測拠点にいる南極観測隊員の一人である、調理担当の人の話。不本意ながらも1年半の間、ここで隊員たちの食事を作る事になる。

不本意とはいえそこは料理人なのでふて腐らず、南極という厳しい環境下でも長期保存が可能な食材を使い、食事の時間だけでもそこが南極であることを忘れさせてくれるような料理を作る。

1年半という時間が過ぎるにつれ、初対面だった隊員たちにあった堅苦しさのようなものの角が取れていく。ある者は誰かをあだ名で呼ぶようになり、またタメ口になり、頭に来たら心底の怒りで喧嘩をするようになる。徐々に伸びていく隊員たちの髪の毛にあわせるかのように、「仲間」としての絆が深まっていくのを丁寧に演出していてとても良かった。

この作品が淡々としたテンポのコメディ映画である事は隊長役のきたろうがその演技を持って無言で知らせてくれる。極地で過ごす人たちの精神的プレッシャーや葛藤などもコメディとして置換されており、ドキュメンタリー的要素を期待している人には肩透かしかもしれないが、わたしはすごく楽しめた。

それぞれの隊員のエピソードとして、複数「家族や恋人とのつながり」が描かれている。遠距離恋愛の末彼女に振られた若者の結末についてはやりすぎだと思ったが、既婚者たちのエピソードには華が無いのでこのくらいのファンタジーに着地されるのもありなのかもな、とも考えた。

昼過ぎに酒を呑みながら観ていたのだが、要所要所に泣かせるポイントがあり、思わず泣いてしまうシーンがいくつかあった。

特にグッときたのはとある事情で料理をボイコットした主人公に代わり、それに不慣れな隊員たちが食事のおかずとして唐揚げを揚げる場面で、特に美味くも無い唐揚げに主人公が涙するその意味の前フリとして準備されていた日常のシーンのさりげなさに「上手いなぁ」と涙しながらも驚嘆せずにいられなかった。「何故泣けるのか」ということは説明せずに観客自身の心を動かす監督のセンスが良い。

南極行ってロケしたのかな、と思うほどそれっぽい基地の外は実際には網走らしく、いずれにせよ晴天のシーンなどに伺える、地平線まで雪景色という光景が綺麗だった。

本編は2時間を超えるが、基地とその周辺という限定された空間でのエピソードと、そこに時折挟まれる出発前の様子程度しかないので、観ている途中で「この映画長いな」という感想を持たざるを得なかった。舞台劇が好きな人なら楽しめると思う。

個人的に唯一つらたんだったのは、黒田大輔が小飼弾に見えて仕方なかったこと。

観て良かったです。シラフの時暇だったらもう一回観たいかな、と思う程度に、隊員それぞれに愛着がわきました。

おわり

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