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6才のボクが、大人になるまで。


Boyhood

感想:

6才の少年が18才になるまでの12年間を「実際に12年間撮影して」完成させたとんでもない作品。

とはいえフッテージとして12年分春夏秋冬まるまる撮影しているわけではなく、撮影は2002年から2013年の夏ごとに1回あたり2-3週間使って撮影されています。上映時間は165分ですから、各年のエピソードは10分前後。ポスターに使われている6才の頃の、どこからどう見ても「こども」だった少年が、あれよあれよという間に大人へと成長していきます。エロ本との出会いや飲酒、喫煙、マリファナといった、大人になるための通過儀礼もしっかり描かれます。

ぼくには離婚した妻との間に出来た7歳になる息子がいて、現在は月に1回のペースで会っているんですが、彼が小学校に上がってからというもの、同級生・上級生との交流もあってか、「少年感」みたいなものが出てきましてね。

ピングーからアンパンマンへ、アンパンマンから仮面ライダーへ、仮面ライダーから妖怪ウオッチへ。次第に複雑で知識や語彙が必要とされる「面白いもの」を望むようになります。

はじめての息子ですから、与えるおもちゃや娯楽が適切か、親であるぼくも手探りのトライ&エラーで確かめていきます。その際に一番頼りになるのが自分の経験なんですが、それは「小さい頃こういう事があって面白かった。こういうところに行って楽しかった」という想い出を呼び起こす行為でもあります。すると、「あぁ、ぼくは両親や祖父母に大事にされて来たのだな」という事にも気付いたりして、ちょっと嬉しくなったりします。

しかし当の息子にとっては、両親が自分の事を気にかけてくれているというのは当たり前。自分が日々触れる「当然」の数々が、両親をはじめとした人々の「愛情」や「義務」によって成り立っているとは夢にも思わない事でしょう。

この作品はそんな「親側は真剣に家庭を維持しようとしているのに、子供にはそれがわからない」というあたりの表現も上手くて、家庭を持ったからこそ、子供が出来たからこそ共感出来るエピソードも沢山出てきて面白かったです。

という訳で小学生くらいのお子さんを持つご両親にお勧め。監督であるリチャード・リンクレーターも「これは"Boyhood"の物語であると同時に、"Parenthood"の物語でもあるんだ」と語っています。ちょっとだけ先回りして、子供はどういう風に成長するのか、人生の目標を持つってどういうことなのか、そしてどうやって「彼らのいなくなった残りの人生」を過ごすべきなのかを考えてみてはいかがでしょうか。それまで「日常」だった自分の子供と接する日々が「毎日特別なんだ、どの日も1度しかないんだ」と感じられるようになる映画だと思います。

子供が子供でいられる日々はあっという間に過ぎてしまいます。それは親として一緒に暮らせる日々が終わりに近づくことでもあります。親の手助け無しでは何も出来なかった子供が、次第に自力で行動できるようになり、いつの間にか親の力を必要としなくなる。大人になるってそういうこと。独りで生きるという状況に、寂しさよりも自分が持っている夢と未来が勝っている事。

自分の息子が自分を必要とし、声を上げて一緒に遊ぶ事が出来るのはあと何年だろうか。ついそんな事も思ってしまいました。その終焉を笑って迎えることが出来る日がくれば、父親としてもう何も言う事はありません。その時は息子とビールで乾杯だ! 

おしまい

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