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スター・トレック イントゥ・ダークネス


Star Trek Into Darkness

感想:

人生においてスタートレックに興味がないまま不惑を超えたぼくだったが、リブート版「スタートレック」は非常に楽しめたと同時に続編を観たくなるほどの作品だった。

仕切り直しという事でスタートをエンタープライズ号の処女航海以前とし、カークとスポックをはじめとした各キャラクターを手際良く紹介していくつくりは、この物語をほとんど知らないぼくにとってありがたかったし、この作品が巷でよく言われるようなオタク向けではない、SFの知識がない一般の人たちでも楽しめるものだったという認識を持てたことは非常に大きな収穫だったと思う。

それらを踏まえたうえで期待して観に行った続編であった。途中までは面白かった。途中までは。

スタートレックといえば、興味のないぼくでも知っている有名なナレーションがある。

「宇宙、それは最後のフロンティア」というやつだ。

……行けよ、そのフロンティア方面によぉ。

前作のラスト、スポックの声でその台詞が読み上げられた時はちょっと感動した。ここに持ってくるか、と思った次の瞬間、エンタープライズ号は宇宙の彼方へとワープするのだ。

そしたら続編はその宇宙のあちこちで起きたよもやま話を期待するだろうがよぉ。なんでまだ地球近辺ウロチョロしてんだよカークさんにスポックさんよぉ。副都心線でいえば渋谷から池袋行って帰ってきた程度の旅じゃねえかよお。行けよ。和光市から東武東上線に乗り入れしてよぉ、森林公園のそのまた向こうの、秩父鉄道の彼方によぉ。それがフロンティア魂ってもんだろうがよぉ。

……わかった、これから、これから旅立つんだよな? 冒頭で取り扱った未開惑星のレスキューはつまり「はじめてのおつかい」みたいな感じの試験任務なんだよな? それなら合点がいく。本当はスポックを見守る優しい宇宙艦隊のスタッフさんたちがいるんだよな? 買い物かごの中にビデオカメラ仕込んで、怪しまれないように適度な距離にいるんだよな?よしわかった、話を進めてくれ。

ロンドンでテロ、だと……!?

何だよそういうのはサンダーバードとかにやらせろよぉ、これ壮大なスペース・ファンタジーじゃねえのかよ、なんで地球で事件始まってんだよさっきも言ったけど距離が近えよー。んでもってなんだよ対策会議がサンフランシスコってよー。俺が観たいのはサラリーマン雑誌の「世界を駆け巡る若手起業家特集」みてぇな話じゃねぇんだよー。頼むよー宇宙行ってくれよ宇宙によー。

……わかった、確かに宇宙に飛び出すには理由がいるしな。あれだろ? 稟議が下りねぇんだろ。年度末だからってんで経理が突っぱねてんだろ。何だよ早く言ってくれよそれならわかるよそれはわかるよ俺も一応働いたりしてっからよー。そうだよなぁ、やっぱ人死にくらいなきゃ追加予算ブッ込めねぇし、せーのドンって勢いで宇宙にとびだせねぇもんな。、悪かった悪かった。

それでカーくんはどこのパラダイス銀河行くの? 何惑星クロノス? 誰かいんの? クリンゴンが住んでる? 待ってました聞いたことあるよクリンゴン! あんたらの宿敵だってことくらいは知ってるよ! これはあれだな、流れるぜ? 血が。いいねいいねさすが続編だよやっぱこうでなくっちゃ。で、上からは何て言われてんの? 積み込んだ光子魚雷ありったけブチ込んで来い? こりゃまたいい上司を持ったねぇ、面構えからしていい上司だ。この人はあれだよ、雇用関係が無くなった瞬間に会社の重役を拳銃で蜂の巣にするくらいの非情さと度胸は持ってると踏んだよ。とにかくこのご時世にこんな景気のいい案件なかなかないよ! 打ち上げようじゃないの、でっかい花火をよ! 夜空にバーッと大輪の花を咲かせようぜ!!

……撃-てーよー。なんで撃たねぇんだよー。おい待て、何生け捕りにするとか言ってんだよ、ほ、ほーらここに光子魚雷が72発もあるよー。一発くらい撃ったってバチは当たらないっておじさん思うんだけどなー。一発! 一発でいいからやらせてください!

……降り立ちましたかそうですか。おっ、とはいえ出会ったクリンゴンさんは結構ピリピリしてんじゃねぇの。これだよこれこれ。これをきっかけに惑星間戦争が起きるんだよな! 何だよ引っ張るにも程があるよ脅かしちゃあいけねぇや、デター!! 犯人による空気を読まない銃撃から始まる本意ではない戦闘が! そして! 勝った! そしてどうなるッ!!??

何で地球帰るとか言い出すんだよ……

あんたの目の前に広がってるのが最後のフロンティアなんだよぉー、そっち行けそっちによぉー。そんでなんでまた犯人には透明っぽい部屋が用意されてるんだよー。そんな部屋さんざん観たよー。中でチェスやったりバカが緑の服着たロン毛に騙されて逆に閉じ込められたりするアレだろー?「透明っぽい部屋に入れられた悪い人は結構簡単に出てくる」の法則が発動しちゃうじゃねぇかよぉー。

だがしかし! そこへ来たよ超巨大戦艦がよ! これは間違いなく、激論の末に仲間割れの展開! ほら来た! いいよいいよもうこれでいいよ、そんであれだろ、こういった大きさからして敵わない相手には、やっぱ最後特攻とかして死ぬんだろ? そしてそこへ「エンタープライズ号は二度と皆様の前に姿を現すことはありません」とかテロップが重なるんだろ!? とはいいつつもしっかり続編は作られて、JJエイブラムズはロケットランチャーをクルーザーに積み込んで捕まったりすんだろ!? どっかで見た話っぽいけどそれでいいよ! どっかで見たといえばこれ! 今目の前に広がる!

地球……何もかもみな懐かしい……ってフロンティア―!! フロンティアー!! お前ら夏休みに親戚の家に泊まりに行ってホームシックにかかった子供よりたちが悪いわ!! 一晩二晩の我慢も出来んのか!! 汽車だって闇を抜けて光の海へ出発進行してるってのによー!!  夢が散らばる無限の宇宙によー!!

……もういい、落ちろ。落ちちゃえよ。そうそう、そうやってブーンって黒煙吐きながら地上に叩きつけられろ。そん時の爆発でいいや。それが花火ってことでいいや。そいつ見せてくれよ、ドカーンと。

おいおいカーク船長がヤケ起こしてるぜ。自ら危険を顧みず、放射能で汚染されたメインコアルームに入り込んで、大した知識もないのに修理しようとしますか。無茶だ無茶、スコッティ機関士も言ってたけど、大体からして中身の知れない光子魚雷を積んだだけでも航行に支障が出るかもしれないセンシティブな船体なんですよ、このエンタープライズ号ってやつは。そんな23世紀最新鋭の技術で作られたこの宇宙船のメインコアはですね


_人人人人人人人人人_
> 蹴ったら直った―!! <
 ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^ ̄


……頼んだぞ黒いの。もうお前がドッカーン、なんだろ? 悪役だしな。そろそろ映画も終わるっぽいしな。よーしいいぞいいぞ、真下は大都市じゃねぇの、このまんまいい感じに突っ込んで、いい感じに……いい感じに胴体着陸してんじゃねぇよ!!

あぁ……これがあれですか、大団円ってやつですか。いいエンディングだと思いますよ。カークも生き返って万々歳、ってね。疲れたろ。病み上がりだししばらく休暇とか取りなよ。もういいよ、フロンティアは。あきらめるよ。そういう話じゃなかったんだろ? 思い返せばこれはこれでよかったのかもしれない。今までいろいろ言って悪かったなカーク船長さんよ、あんただって言いたいことあったろ? いいぜ言ってみな? 怒らねぇからよ。

「これは人類最初の試みとして5年間の調査飛行に飛び立った宇宙船USSエンタープライズ号の脅威に満ちた物語である! バシューン!! (ワープした)」

えっあっ逃げやがったあん畜生!! 最後の最後で言うセリフじゃねぇだろふざけんな!! 続編なかったらぶっ殺すかんな!!

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