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小さなスナック


感想:

うわあぁぁー 同じ曲ばかりで 気が狂う―ッ!!

「小さなスナック」は60年代にブームとなったグループサウンズ(GS)のヒット曲がモチーフとなっている恋愛ドラマです。

曲を演奏していたのはパープルシャドウズという四人組で、一発屋でした。

ヒット曲のタイトルを冠した映画とはいえ、例えば「ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!」のようなメンバー主軸の映画ではなく、主役とヒロインの恋の手助けをする知り合い、という感じでバンドは出演しています。

主演は藤岡弘、(藤岡弘:当時)。当時22歳で、まだ「仮面ライダー」の本郷猛としてブレイクする前でした。奇しくも「ウルトラマン」にてアラシ隊員を演じた毒蝮三太夫(石井伊吉:当時)がスナックのマスター役で共演しており、特撮好きなら「普通の映画に出ていた彼ら」を確認するために観るのも良いかもしれません。

「僕が初めて 君を見たのは 白い扉の小さなスナック」

えっなんだい、呑み屋のチーママにでも惚れたのかい? と誤解してしまいそうな歌いだしです。しかしこの当時「スナック」が指す営業形態はカフェバーに近いものだったそうです(世界で最も信頼できる情報サイト、Wikipediaによる)。その後、流行の移り変わりや経営者・常連の高齢化から、今のような感じの営業スタイルになったんだそうです。へー。

メインとなるのは主人公とヒロインの恋物語なのですが、途中あちこちにまるで散文詩のような、「それは今言わなきゃいけない事かな?」と言いたくなるような会話シーンが配置されています。他の方の感想を読むとゴダール的らしいのですが、わたしはゴダールを知らないので「とっちらかってんな、おい」という印象しかありませんでした。大学ノートにおしゃれポエム問答を書きつらねていたら一冊埋まったので、全部ブッこんだら言いたいことが散漫になりました、という感じ。

当時はこれでおしゃれだったのかもしれませんが、今改めて観てみると途中からこの映画はコメディ映画なんじゃないだろうかと勘違いするくらいの「何やってんだお前ら」感で爆笑が続くお話でした。特に後を引くのが何かあるたびに鳴りだすアコースティック・ギターのBGM。途中から「ウザいな」と思いはじめ、ついには「同じ曲キター!!」という気持ちにさせてくれるワンパターンさ。音を文字に書き起こすことは不可能なので、これは是非体験していただきたい。

他には藤岡弘、が織りなす「俺流のキスシーン」もお薦め。唇を重ねはするものの、当時の事情では舌を入れる事が出来なかったのか、そこからグリグリと唇を押しあてる愛情行為が続きます。される方も忍耐を強いられるキスシーン。性行為もおっぱいも出てこないこの映画において、性欲とはなにかをキスで表現出来ている良シーンでした。

出演者たちは、現在ではもう70歳前後になっています。そんなジジイババアにも数十年前は当然ながら若く、青春があり、誰かと恋に落ちては心を燃やし、浜辺であの娘とブッチュブッチュしたいぜおい、という願望があったという事です。

ネタバレになりますがヒロインはパトロンに出してもらった金で美容院を経営しており、主人公との恋を取るか、店舗経営資金の源となっているパトロンを取るかの狭間で苦しんで最後は病室で自殺するという救いの無い話を、そんなやりとりなど一切書いていないヒット曲の「小さなスナック」と絡めて映画を作ったという異様さは、一見の価値があるかもしれません。アメリカン・ニューシネマが流行ってたから救いの無いエンディングにしたかっただけかもしんないけどさ。

酒呑みながら事あるごとに流れる曲に「バッカじゃねーの」って思いながら中途半端に観るのがお薦め。

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