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タンポポ


Tampopo

感想:

本作を語る前に、伊丹十三作品について忘れられない思い出がある「お葬式」の話をしますね。

「お葬式」は1984年公開で、伊丹監督が劇場用長編映画としては初めてメガホンを取った作品です。

当時ぼくは中学生で、「お葬式」はたしか11PM(当時の深夜番組)で紹介されたのがきっかけで知りました。出演者が「珍しいテーマの映画」と言っていた事と、火葬場で焼かれる棺桶視点で撮られたカメラワークが印象に残っていました。

映画館に行くのに電車賃だけで往復二千円もかかるような田舎に住んでいたものですから、劇場で観るという選択肢は取れませんでした。初めて観たのは、一年ほどしてレンタルビデオになってからだと思います。想像していた通り、面白い作品でした。ぼくは邦画によくある陰気な感じの演出が好きではなかったのですが、この作品は「お葬式」というテーマでありながらカラッとして間の抜けたギャグが嫌味なく配置されており、振り返ってみればこの作品は僕の邦画嫌いをある程度矯正してくれた傑作でした。

ぼくの住んでいた家には茶の間と子供部屋にビデオデッキがあり、子供部屋にあったビデオデッキはそれまで茶の間で使われていたもので、買い替える際に親に頼んで貰い受けたものでした。自室にビデオが来てからは、友達を読んでは一緒に新作レンタル映画を観る日々が続きました。

ところで、ぼくにはこの映画を観るのに一抹の不安がありました。何故ならこの映画がテレビで紹介されていた際に、エロいシーンが出てくることを知っていたからです。どのくらいエロかったのかまでは思い出せませんでしたが、年頃の中学生が友達と観るには刺激が強すぎるのではと自分で思うくらいのものであろう、という事は想像できました。しかし、当時は今と違い、テレビでやっていた土曜ワイド劇場でも平気でおっぱい丸見えのシーンが流れたりしていた牧歌的な時代でしたから、まあ必然性があるなら仕方ないじゃないかと思って本編を再生してしばらく観ていると、

山崎努が、立ちバックでセックスを始めました。

こちらは中学生の身です。そりゃあ衝撃的でした。「セックスは立ったままでも出来る」という事や、それを野外でやっている事、またその映像がテレビの昼ドラに出てくる、シーツから半身を出して首すじあたりを延々舐める幼稚な官能表現とは全く違う、実に生々しいものだったからです。そこへ、別の衝撃がぼくを襲います。

「アンタたち何見てんの!!」

ぼくの母がいきなり扉を開け、鬼の形相でそう叫んだのです。ぼくたちはとっさでしたが本当の事を言いました。

「お……お葬式!!」

画面では山崎努にバックから突かれている女が、おおぅ、おおぅ、とヨガっています。

「これのどこがお葬式なの!!!!!」

返す言葉がありませんでしたが、それでも、自分たちはちゃんとした映画を観ていたんだ、ポルノを観ていた訳じゃないんだという事を証明するためにあわてて取り出しボタンを押し、

「ほ、ほら! ラベルに“お葬式”って書いてあるだろ!」と言い訳しました。最終的に映画を最後まで観ることは出来たのですが、顛末に関しては略します。


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さて、話を「タンポポ」に戻しましょう。

この作品はぼくの生涯ベスト級作品邦画部門第一位と言ってもよいくらいのとても面白い作品なのでみんな観てください。おわり。

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