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タキシード


The Taxido

感想:

ジャッキー・チェンがジェームス・ブラウン(本物)をブン殴る!! おわり!!

 

書きますよ……。

映画「タキシード」は、「レッド・ブロンクス」のヒットをきっかけに全米で巻き起こった「遅すぎたジャッキー・チェン・ブーム」の最中作られた映画の中ではアクション少なめのコメディ映画。

これまでジャッキーは、色んなものを触媒としてその強さを我々に見せつけてきた。酒を呑んでは強くなり、阿片を呑んでは強くなり、メチルを呑んでは強くなっていた(そしてついでにカタワ拳を編み出した)。

なんだよ呑んでばかりじゃねぇの、と思うなかれ、他にも拳法の精霊に助けられて強くなったり、万頭を皮だけ食べて強くなったり、ストIIの春麗のコスプレをして強くなったりしたことがある。このように、「何かのきっかけを経て自身が強くなるジャッキー映画」という作品は数多く作られている。

ところが今回の「タキシード」では、ジャッキーは最後まで「弱いまま」だ。「中国人全員がカンフーが出来る訳じゃない」と言い訳するくらい、武術の素養は全くないという設定の主人公を演じている。

そこに登場するのがタイトルにもなっているタキシードで、これは一見普通のタキシードだが、実は科学の力によってその人を超人にする事の出来る一着だったのである。

という「てい」なので、今回ジャッキーには「いかにもタキシードによって強くなったように"見える"演技」をするという課題が出来た。発想としては面白い。劇中の相棒役には'97に「ラストサマー」で大ブレイクしたジェニファー・ラブ・ヒューイットがキャスティングされ、「ラッシュ・アワー」のクリス・タッカーとも、「シャンハイ・ヌーン」のオーウェン・ウィルソンとも違うスタイルのバディ・ムービーとなった。しかも配給はドリーム・ワークスである。これでストーリーさえ面白かったら、面白い映画になっていただろう。

そう、鳴り物入りで封切られたこの映画は、全米でコケた。

監督はケヴィン・ドノヴァンという馬の骨だ。IMDBによると彼はこの「タキシード」がハリウッド映画初監督作品で、以降はショート・ムービーを細々と発表しつづけるというハリウッド・ドリームの光と影を絵に描いたような人生を送っている男だ。多分本作でのアクションシーンはジャッキーが監督やってるんだろうが……。

ガジェットの力に頼るコメディ・アクション映画といえば「ゲットスマート」とか「GO ! GO ! ガジェット」とかあるが、アクションがガチなぶん、そういった特撮に頼り切った映画に比べれば、「タキシード」は楽しめる。

ストーリー自体は小学生が考えたような話なのだが、話の骨となる「悪の組織が企んでいる事」がその点において逆効果で「バカが考えた科学的に根拠のない設定はつらい」という感想しか出なかった。伏線の貼り方も「英語力が足りないので誤解してました」という、英語力の足りない人が観たら笑えないものとなっている。

そして驚くべきことに、この映画のイントロとエンディングにはそれほど、いや全くといっていいほど意味がない。主人公は同じ場所で同じ行動をとるのだが、それを観客に見せるべき理由が無いのだ。話の筋にも全く関係なく、一体何を考えていたのか理解に苦しむ。

そんな中でキラリと光るのが、冒頭にも書いた「ジャッキーがジェームス・ブラウン(本物)を殴るシーンだ」。このくだりの前後も全く意味の無いシーンなのだが、存命中のJBがこんなくだらないショート・コントのためにカメオ出演していたのかと考えると目頭が熱くなる。全体的に平均点以下のこの作品で、ここだけは何度観ても爆笑できる。

ちなみにジェームスは同年に公開された「アンダーカバー・ブラザー」にもカメオ出演しており、同じような「サンプリングギャグ」とでも名付けたくなるかたちで登場するので気になったかたは要チェック。

そのジェームスは2006年、心不全で死んだ。

「この頃はこんなに元気に香港スピンしてたのに……」

ジェームス・ブラウンのファンなら一度は観ておくべきだろう。

そして件の登場シーンを見終えたら、ジャッキーに対して、

「お前あんま調子にのんなよ!!」

と心の底から怒っていいと思う。ありがとう、ジェームス・ブラウン。

おわり

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